朝。布団の中で、気持ちよくまどろんでいる私。冬の朝というのはこうしてると、とっても気持ちいいんだもん。時折、廊下をぱたぱたと歩く音が聞こえるけど、そんなことはお構いなし。もう少し、こうしていたい。
「ねえ、とらくん、真鹿ちゃんは?」
あら?
これって、真鶴の声?
「え? 今朝はまだ見てないけど」
あらら?
今度は真虎の声。
「ひょっとして、まだ寝てるんじゃない?」
また真鶴の声。そうよ、私まだここにいるの。まだ寝てるの。だって、気持ちいいんだもん。
「真鹿ちゃ〜ん、起きてる〜?」
部屋のドアがかちゃりと開く音がして、真鶴の声が聞こえた。そうよ、私まだ寝てるの。
あれ?
今起きてるって聞いたのかな?
「とらくん、やっぱり寝てるよ〜」
「しょうがないなぁ」
今度は真虎の声だ。だから、寝てるっていってるじゃない。すっごく気持ちいいんだから。
「真鹿ちゃ〜ん。朝だよ〜。起きてぇ〜」
あらら?
体が揺れてる。そっか、きっと真鶴が揺すってるのね。
「真鹿ちゃん、起きなよ〜」
今度は真虎の声。ん〜、二人して私を起こそうとしてる〜。もう少し寝かせてぇ〜。
「真鹿ちゃ〜ん、遅刻しちゃうよ〜」
遅刻?
遅刻って何?
「真鹿ちゃ〜ん、学校だよぉ〜」
学校。学校はいつも行ってるもん。今日だって、行くのよね。
あら?
今日も学校なのよね。
今何時かしら?
「あ、起きた」
私が目を開けると、目の前にはそれぞれの学校の制服を着た真鶴と真虎が私を覗き込んでた。
「おはよぉ〜、二人ともぉ〜」
「おはようじゃないよぉ〜、遅刻しちゃうよぉ〜」
そう言って真鶴が時計を両手にとって私の目の前につきだしてきた。とても見えやすくていいわね。えーと、今時間は……
「…………………………」
「真鹿ちゃん?」(鶴)
「真鹿ちゃん?」(虎)
「真鹿ちゃ〜ん」(鶴&虎)
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!! たっいへ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!」
両方の耳を手で塞いでる真鶴と真虎の目の前で、私は布団から飛び起きて、大急ぎでパジャマを脱いだ。
「何で起こしてくれなかったのぉ〜〜〜〜!!!」
「起こしたよぉ〜」
真鶴が、しょうがないなぁっていう目で私を見てそう言った。
「もう少し早く起こしてよぉ〜」
と言ったとき、私の視線が真虎と合った。真虎、顔を赤くして目を皿のように大きくしてる。思わず視線を落とすと、私は下着姿。そうよね、だってパジャマ脱いだんだから。
え?
パジャマ脱いだ?
ってことは……
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!! 出てって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
とりあえず手近にあった物を掴んで投げると、ごつんという鈍い音がして真虎が顔を押さえながら部屋から出ていった。真鶴も、あとに続いて部屋から出ていく。
「早くしないと遅刻するよぉ〜」
ドアの影からひょこっと顔を出した真鶴がそう言ったので私は我に返った。
「た、たいへ〜ん。もうこんな時間じゃな〜い!」
私は急いで着替えて、髪の毛を梳かして三つ編みにして、とりあえず机の上に置いてあった教科書やノートを全部鞄に詰め込んで部屋を飛び出した。
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