ひらり、舞いながら美夕の手が疾る。
美「派ッ」
やたらとドスの聞いた呼気と共に一閃させた球は卓球台、俗にそう呼ばれる代物に当たり跳ねる。
一「スマッッッッッシュ!!!美夕選手、強い!!
流石は監視者、伊達に学園を、これでもかというほど渡り歩いてません!!
色々制服着てるだけじゃなかったということですッ!!」
「く、くそぅっ」
見事に美夕の一打は決まり、対戦者が苦悶の声をあげた。
一「勝者!!美夕!!!」
「「おおおおおおお〜」」
周りの色んな容をした神だったり魔だったりする方たちが感嘆の声をあげた。
美夕は見事初戦の相手『花子さん(12)』を打ち負かしたのである。
ラ「やりましたね」
美「楽勝よ、こんなの、何年やってると思ってるの」
運動で少しばかり上気した気持ちが、その表情にみてとれた。
ラヴァはそそくさと、タオルを差し出す。
し「え〜っとねぇ。あたいが出会ってからで既に……」
美「し〜〜〜な?」
し「…死、死無です。ええ、いわないよぉ〜…やだなぁ〜もぅ」
球遊びは手毬だけじゃなかったようだ。
卓球なんてのは中学、高校の体育授業では必須とも言えるほどの球技だ。
私立ならともかく公立高校の8割以上は、その種目をやっている。
なんでも、ある程度安全で、用具出し、片付けの作業をやらせることができ
尚、ほっといても、ある程度ふざけずにやっている種目として楽だ…と、
学校の先生に人気らしい。現役の一人の教師、○○さん(27)の談である。
(プライバシー保護のため、名は検閲させて頂きました。)
ラ「美夕、喉が渇いておりませんか?」
美「あ、うん、少し」
ラ「では、こちらへ」
こうして、美夕は順調に勝ちあがっていた。
《神魔ノ遊戯 卓球編(前編)》
勝負はトーナメント。
シングルス(タイマン)で11点ラリーポイントの一セット先取勝負(ガチンコ)
という、ルールであった。
普通は三セットだが、この辺りはご都合なので了承を願いたい。
とかく、そのメンバーはそうそうたるものであった。
もちろん台は複数あり、同時に進行されているが、その一つでは……
夕維(以下、夕)「那巍ぃぃぃ〜、ガンバレぇ〜!」
那巍(以下、那」「な、なんでオレが!?」
と、不満気な声を洩らしつつも、きっちりと球を打ち返しているのは那巍であった。
一「お、那巍じゃんか」
那「ん?お!」
顔見知りを見つけて、見周りとちょっとした実況のような、所謂、お仕事を忘れそうになるが、
第二層支配してる方からのプレッシャーを遠目にも受けて仕事に戻る狼少年。
ふと彼が対戦表に目を落した。
一「ん〜、え〜っとあの台は…那巍と…『ナイチンゲール』……って!?
神魔なのかッ!?あの、おねえさん!?」
この卓球大会は無種属としているが、基本的には人外の方達を対象にしている。
属違い、族違いならばともかく、人間では、神魔の動きについていこうなど
考えるだけ無駄であるからで、勝負にならないという判断である。
一郎はその『ナイチンゲール』を見て神魔とは思えなかったのである。
一「………よくもまぁ、あんなかっこうで、羽根まで生えてるし…」
ひらひらしすぎ、な服を、画面、もとい空間に舞わせて踊る様にラケットを振る。
頭にはしっかりと、人間界ではナースキャップと呼ばれる帽子ではない
ような気がしなくもない雰囲気重視のひらひらを頭にくっつけていた。
いや、それは別にいいが……
何もはちまきまですることはない。
ちなみに、はちまきまでヒラヒラしていたりする。もちろん白だ。
はちまきと羽根とナースもとぎのキャラは、けっこう新しい気がしなくもない。
とりあえず使うかどうかはともかく権利を確保しておきたいところですが……。
余談ではあるが、やはり温泉卓球なのだから浴衣で…ともおもったものの、
『いかにも』な感じに想像してしまったために、白衣を想像してもらいたい。
ナイチンゲール(以下、ナ)「えいッ♪」
コン、コン。カコン。
なんとも不思議な図であった。
そこだけ時間の流れが違う様な違和感。
神魔の空間に迷い込んだかのような錯覚をうけた那巍は、『ピンポン』をしていた。
そもそもがやる気が起きなかった那巍は、相手に合わせる形でラケットを当てている。
ラリーは長く続き、そのスピードは他の台とは違い、人間でも勝負になりそうである。
いや、むしろ練習か?とも取れる程度であった。
那「ほっ」ナ「はい♪」那「そいやっと」ナ「はい、どうぞ♪」
夕「(……楽しそうねぇ…那巍)」
ちょっと複雑ではあったりなかったりな微妙な表情を夕維が浮かべる。
那巍の頭に浮かぶ“印”も出ていないし、いつもぶっきらぼうで、内心は
反抗期のガキのような彼が無邪気とは程遠いが、それなりに、何となく彼女には楽しそうに見えた。
那「(不思議だ……何やらほんわかしてしまっている)」
コン
那巍の打った球は卓球台の奥深くに当たり、白衣の天使の横を通り過ぎた。
ナ「あら」
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・
別の卓球台はうってかわって死闘となっていた。
カカカカッ
ラリーの応酬は見る者に、その球を見ることさえさせない。
それほどまでに速い打ち合いである。
風を切るラケットと球は、さながら一流の殺陣(タテ)を見るかの如くである。
加えてエフェクトまでかかった様子のラケットが空間に、ありえない軌跡を描く。
一言で言うなら、まるで『80年代の暴走作画な少年向けジャパニメーション』であった。
一振りする事に稲妻が走る背景!
眼が『シャキンッ』と煌き。ややと『見切った』と言わんばかりに、ありえないほどの
オーバーアクション!!
ついでに言えば時間概念なども超越しており、コンマ秒での会話すら可能とするその技術は
まさにコスモの力と言うか、物語的ファンタジー演出の極みと言えないこともない。
喜綺(以下、喜)「いきますッ!死無ッ!!」
カンッ!
渾身に籠められたそのラケットから、寸分違わず台の端に穿たれる。
しかし、弾丸と見間違うほどに加速し、正確に放物線も描く間もない球は
彼女の対戦相手、その容姿とほぼ一対一の大きさをしたラケットに阻まれた。
し「ふっふふ、あたいに勝てるとおもっているのかいッ!?」
喜「え〜〜!自信あったのに〜、なんでぇ〜!!」
し「しかし、よくそこまでの成長をとげたね。喜綺ッ!!」
殆ど小さな手で構えるだけになっていたラケットを、傍目ではむしろ支えるだけで大変じゃないかと思う
ほどのそれを、死無はあろうことか、ラケットの後ろに控えていた耳で後押しする様に『振りあげた』。
コンマ数秒の攻防の中で喜綺はその体操服にブルマーという大きなお友達(特にお兄ちゃん)が大変に喜びなさる容姿を迎撃体制に設定する。
正常なる垣野内作品ファンの片、引かないで下さい。お約束です。
やるなと言われてもやります。むしろ義務です。
と、言うわけで、(テキトウに)余計な描写をします。
腰を落し、その筋肉は動作に備えて適度に弛緩し、普段ならば気になるだろう汗も気にしない。
『きき』と描かれた名札は形よい二つのふくらみを覆い、少し汗がにじんでいた。
普段メイド服なんてのを着てるわりに、その足腰は跳ねて踊っていけますよッと言わんばかりの
肌と筋の張りを併せ持ち、高潮しているハイライト当社比30パーセント増な艶を放つ。
(個人的にはそんなんねぇ方がええでつが…え、いや、これでもかっていうハイライトは要らないと…
……やはりモザイクとて適度であるからこ(以下自主規制))
ラケットを持つ手は、その神経を尖らせ、例えば蝿が止まっても解るほどに敏感である。
しかし、その腕は無意識で動き、その正確性と速動性は、指向性赤外線型自動照準銃よりも優秀であった。
が、
喜「きゃッ!?」
コン。
し「んふふふ、あとがないよ?喜綺」
喜「う〜〜〜ッ」
美「6対10……決まりね」
スコアを見ていた美夕は思った。
死無の教育って卓球だったのね……と。
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・
那「(勝った…が)」
那巍の内心をよそに、ばれぇーで鍛えた優雅さそのままに卓球を楽しんだナイチンゲールさんは、やおら勝負の終わった卓球台にカップを置く。
ナ「どうぞ」
紅茶だったりした。
那「……どうも」
ナ「そこのお嬢さんもいかがかしら?」
夕「…え?」
那「………」
夕「……ど、どうも」
一「な…なんなんだ。一体」
古時計の針は三時を指していた。
音が香る。
ご〜ん♪ご〜ん♪ご〜ん♪
夕「香音(かのん)??」
名づけて、午後三時の卓球〜香音抄〜
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・
死無と、喜綺の激しいバトルの横の卓球台では、11対0のスコアで
パーフェクトで勝利した勝利者が、ふと美夕を見た。
美「オッドアイ…」
ダリア「……ヴァンパイア」
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